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本の紹介:「家庭裁判所物語」清水 聡

どうも20代サラリーマンのたんどーるです。今日は、最近読み終わった本の紹介をしてみたいと思います。

平成31年に家庭裁判所が創立70周年を迎えたこともあり、前々から読んでみたかった本です。

 

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https://www.nippyo.co.jp/shop/book/7853.html

家庭裁判所物語」清水 聡

まず、家庭裁判所というのは、家庭に関する事件の審判(家事審判)及び調停(家事調停)、少年の保護事件の審判(少年審判)などの権限を有する裁判所であり、具体的言うと、離婚、相続、養子、戸籍氏名の変更などの手続きをすることができます。

このように家庭裁判所は一般の人にも認知されやすい身近な存在ともいえます。

 

この家庭裁判所が、戦後どのように作られ、そして現在に至るまでどのような道のりをたどってきたかが本書の内容です。

 

また、著者の清水聡は、ドラマ化もされた『気骨の判決』を書いており、NHKの解説委員をされている司法分野に明るい方です。法制審議会や家庭裁判所の公式資料だけでなく、裁判官や裁判所で働く書記官の取材を行って執筆されているので、信頼できる内容だと思います。

 

家庭裁判所物語」の内容

内容は以下の通りです。

  1. 家庭裁判所の創設とその道のり
  2. 家庭裁判所創設後に何を解決してきたか
  3. 少年法改正議論
  4. 震災時の家庭裁判所

家庭裁判所の創設とその道のり

家庭裁判所は、戦後に創設された比較的新しい裁判所であり、その職員も女性を採用するという当時であれば最先端のものだったそうです。

現在の女性が活躍する世界の先取りとも感じられます。

家庭裁判所創設後に何を解決してきたか

戦後は戦災孤児ヒロポン中毒などが蔓延しており、かなり困難な時代だったことが記載されています。

その中で、孤児の犯罪やその更生、さらには薬物中毒の孤児を医療施設に委託するなど、家庭裁判所は社会的弱者に寄り添う機関としての道を歩んでいったことがわかります。

少年法改正議会

これは、少年事件の凶悪化により、「少年」の定義を20歳未満から18歳未満にするという少年法の改正の際に起こった議論です。

この改正が実現すれば、18才以上は、検察官の影響下に置かれ、従来までなら、家庭裁判所において、様々な手当(保護処分など)を受けることができなくなってしまうという状態が生まれます。

分かりやすく言うと、18才以上20歳未満の少年が軽犯罪を犯した場合に、検察官が不起訴処分にしてしまうと、そのまま犯罪を犯した少年は野放しにされ、更生の機会を奪われてしまうといった結果が生じてしまうということを意味します。

 

法務省はこの改正案を通そうとしましたが、弁護士会最高裁との間で議論となります。

その詳しい内容を法制審議会の議事録やその議会の出席者に取材をすることで詳しく明らかにしています。

 

4震災時の家庭裁判所

 東日本大震災の際には、非常に失踪者や少年孤児が生まれることになり、家庭裁判所はそれらの方に寄り添った対応をしていたことが語られています。

家庭裁判所には、失踪宣告をする窓口(遺体などが見つからない生死不明のときに法律上死亡したとみなす効果を生じさせる制度)があり、その件数も多く、処理が大変だったということが語られています。

 

家庭裁判所物語」を読んで

裁判所という普通はあまり身近ではない機関の中の家庭裁判所がどのようなところで、どんな歴史を歩んできたのかを知ることができてとても勉強になりました。

家庭裁判所を創立するうえでの裁判官や裁判所職員の情熱やスタンスが非常にぐっとくる内容だったと思います。

 

日本に住む一国民として司法を担う一機関としての家庭裁判所が、どのようなものなのか知っておいても損ではないと思います。

 

それでは、人生が豊かになることを祈って